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1990 年代後半、AV 出身の女性タレントが、ゴールデンタイムの全国放送に進出した。飯島愛である。

飯島愛(いいじま あい、英: Iijima Ai、1972 年 10 月 31 日 - 2008 年 12 月)は、日本のAV 女優・タレント・エッセイストである。1990 年代前半の AV 出演を経て、深夜番組『ギルガメッシュナイト』を通じて全国的認知を獲得し、引退後は地上波テレビの司会・コメンテーターとして活動した。自伝『プラトニック・セックス』(2000) は累計発行部数 200 万部を超えるベストセラーとなり、AV 女優の自己語りが大衆出版物として広範に受容された嚆矢に位置づけられる。本項では、本人著書および同時代の報道資料、二次研究において確認可能な事項のみを記述する方針を取る。

概要

飯島愛は、1992 年頃の AV デビューから 2007 年の事実上の引退に至るまで、おおむね 15 年間にわたって芸能活動を展開した人物である。その活動は、(1) AV 女優としての出演期、(2) 深夜番組のレギュラータレントとしての過渡期、(3) ゴールデンタイム番組の司会・コメンテーターとしての一般メディア期、(4) 引退と社会活動期、という複数の局面を貫通する点に特徴がある。AV 業界から一般芸能メディアへの単線的「卒業」ではなく、両領域に同時に存在する期間を経由した点が、彼女に先行する世代の AV 女優との差異であり、後続の世代に対するモデルケースとして参照される所以である。

業界史および同時代のメディア研究において、飯島愛の名が頻繁に参照される理由は、彼女個人の興行的成功にとどまらない。AV 女優の社会的可視性、自己語りの公的流通、女性タレントの言論活動といった、1990 年代から 2000 年代にかけての日本のメディア文化の構造変動を象徴する人物として、複数の領域から同時に参照される位置にある。

経歴

出自

飯島愛(本名・大久保松恵)は、1972 年 10 月 31 日、東京都に生まれた。自伝『プラトニック・セックス』(2000) において本人が語るところによれば、思春期に家庭環境から離れ、東京都内で生活基盤を築き直す過程で、夜の繁華街での就労を経験したという。本項では、本人が公的に出版した著書で記述した範囲のみを採り、それ以上の私生活への踏み込みは行わない。

AV デビューと深夜番組期

飯島愛は、1992 年頃から AV 女優として活動を開始した。1990 年代前半の日本の AV 産業は、AV バブルと通称される拡張期にあり、月産タイトル数の急増、専属制度の整備、メーカー間の差別化競争が進行していた時期に該当する。彼女のデビューは、こうした業界の構造変動の中に位置づけられる。

同時期、テレビ東京系列で放送されていた深夜番組『ギルガメッシュナイト』(1991-1998) は、AV 女優・グラビアモデル・ストリップ業界関係者を恒常的に出演させる編成を採用しており、AV 業界と一般テレビ放送のあいだに過渡的な接触面を形成していた。飯島愛は、同番組のレギュラー出演者の一人として知名度を全国的に獲得した。彼女がレオタード姿で登場する「Tバック・ガールズ」のコーナーは、当該番組の代表的な構成要素として、深夜放送の文化史に記録されている。

一般メディアへの進出

1990 年代後半から 2000 年代前半にかけて、飯島愛は地上波ゴールデンタイムの番組へ活動領域を拡張した。日本テレビ系『恋のから騒ぎ』、TBS 系『うたばん』、テレビ朝日系『紳助の人間マンダラ』など、複数のバラエティ番組にレギュラー・準レギュラーとして出演し、「物言うタレント」と評される率直な発言スタイルで存在感を示した。

この時期、AV 業界出身の人物が地上波の司会・コメンテーター席に座ること自体が、依然として例外的な現象であった。飯島愛の起用は、結果として、日本のテレビ放送におけるタレントの背景に関する暗黙の境界を再編成する契機となった。すなわち、AV 業界での経歴を秘匿あるいは消去するのではなく、それを所与として参照しつつ一般メディアで言論活動を行う、という様式が成立した点が業界史的に重要である要出典

引退

2007 年 3 月、飯島愛は健康上の理由を公表し、芸能活動からの引退を表明した。本人ブログおよび同時代の報道は、長年にわたる活動による疲労蓄積と健康状態の変化を引退の理由として挙げている。引退後は公の場での活動を控えていた。

逝去

2008 年 12 月 24 日、東京都内の自宅マンションで逝去しているのが発見された。同月 17 日頃に死亡したと推定される旨が、警視庁渋谷署および同時代の主要新聞報道(朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、2008 年 12 月 24-25 日各号)で報じられている。享年 36。死因については、警察発表として事件性が認められない旨が公表された。本項では、これ以上の死因詮索は本人の名誉を尊重する観点から行わない。

著作と自己語り

『プラトニック・セックス』(2000)

2000 年 7 月、飯島愛は自伝『プラトニック・セックス』を小学館より刊行した。本書は、出生・思春期・夜の繁華街での就労・AV 出演・テレビ進出に至るまでの自己史を一人称で記述した著作であり、刊行当時の日本において、AV 出身者が自己の半生を大手出版社の単行本として公刊する事例自体が稀であった。

本書は、刊行直後から急速に売上を伸ばし、最終的に累計発行部数 200 万部を超えるベストセラーとなった。同年代の女性読者層を中心に広範な受容を獲得した点が、それまでの AV 女優をめぐる出版文化と質的に異なる現象として、出版業界・メディア研究の双方から注目された。本書は 2001 年に映画化、2002 年にテレビドラマ化されている。

社会学者・鈴木涼美の博士論文を基礎とする『AV 女優の社会学』(青土社、2013) は、AV 女優の自己語りという主題を扱う際の先行例として、『プラトニック・セックス』に論及している。同書は、AV 女優が自らの経歴を物語化して公的に語る実践が、2000 年代以降に出版・ブログ・SNS を媒介として広範化していく経緯を分析しており、飯島愛の自伝はその系譜の起点付近に位置づけられる。

その後の著作

『プラトニック・セックス』以降、飯島愛は『Sun and Moon』(2002) ほか複数の著作を刊行し、エッセイストとしての活動を継続した。これらの著作は、自己の半生を題材とする一人称的記述という基本姿勢を共有しており、本人の内面と社会的立場の関係を主題化する性格を持っていた。

業界史的・文化史的位置づけ

AV 出身タレントの一般メディア進出

飯島愛は、AV 女優としての経歴を保持したまま地上波ゴールデンタイムへ進出し、長期にわたって司会・コメンテーターとして活動した最初期の事例の一人として、業界史に位置づけられる。彼女に先行する世代の AV 女優は、引退後に芸能活動から退くか、あるいは経歴を一定程度秘匿して別領域へ移行する経路を採ることが多く、両領域を架橋する活動様式は確立していなかった。

飯島愛の活動は、後続世代の AV 出身タレントに対して、一定のモデルを提供することとなった。2000 年代から 2010 年代にかけてのグラビアアイドル、AV 女優の言論活動、SNS を介した自己発信といった文化的事象は、いずれも彼女が開いた地続きの空間において展開されたものとして整理することができる要出典

自己語り文化への寄与

『プラトニック・セックス』の 200 万部超という発行部数は、AV 業界出身者の自伝が、ジェンダーや業界の境界を超えて広範な読者層に到達しうることを実証した事例として、出版史および女性メディア史の双方から参照される。同書は、文芸的価値の評価とは独立に、自己語りを公的言説の場に持ち込むことに成功した点で、後続の女性タレントによるエッセイ・自伝出版の系譜に影響を与えた。

社会活動

晩年の飯島愛は、エイズ啓発活動などの社会活動に関与したことが報じられている。芸能活動と社会活動の接続を試みた点も、彼女の活動史を整理する上で記録されるべき事項である。

本項は、実在の故人を扱うため、本人の名誉および人格権を尊重する観点から、以下の方針を取る。

第一に、本人著書、同時代の主要新聞報道、警察発表、および学術的二次資料で確認可能な事項のみを記述する。第二に、私生活の詮索、死因に関する憶測、未公表の家族関係に関する記述は行わない。第三に、引用にあたっては、本人の業績および文化史的位置づけを軸とし、人物評価の断定は避ける。第四に、より詳細な情報を求める読者には、本人の自伝『プラトニック・セックス』(2000) および参考文献に挙げた二次資料の参照を推奨する。

関連項目

参考文献

主要な参考文献は frontmatter の references を参照。

参考文献

  1. 飯島愛 『プラトニック・セックス』 小学館 (2000) — 本人による自伝。出生から AV 引退までを一人称で記す
  2. 鈴木涼美 『AV 女優の社会学―なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか』 青土社 (2013) — AV 女優の自己語り研究の先行例として『プラトニック・セックス』を扱う
  3. 安田理央 『日本エロ本全史』 筑摩書房 (2019)
  4. 安田理央 『AV 女優の現場』 毎日新聞出版 (2018)
  5. 『朝日新聞 / 読売新聞 / 毎日新聞 2008 年 12 月 24-25 日 各号』 朝日新聞社 / 読売新聞社 / 毎日新聞社 (2008) — 逝去の同時代報道

別名

  • Iijima Ai
  • 大久保松恵
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