hentai-pedia

PV

アダルトゲーム

adarutogeemu

ビデオゲームというメディアが性表現を取り込むとき、それは静的な映像でも文章でもない、第三のかたちをとる。プレイヤーが選択し、操作し、結果を引き受ける。家庭用 PC の普及とともに各国で独自に発達したこの作品形態は、日本では「エロゲ」、英語圏では「adult video game」と呼ばれ、互いに重なりながらも異なる輪郭を描いてきた。

アダルトゲーム(あだるとげーむ、英: adult video gameadult game)とは、性的主題ないし性描写を主要構成要素として含むビデオゲーム形式の作品全般を指す総称である。本項では、日本固有の俗称エロゲを含みつつ、より広義の国際概念として、ジャンル分類、媒体史、海外との比較、現行配信プラットフォームを扱う。

概要

アダルトゲームは、性的描写を主要要素として含むコンピュータゲーム作品の総称である。プレイヤーの能動的入力(選択肢、操作、行動)を介して物語または状況に介入する点で、受動的視聴媒体であるエロ漫画アダルトビデオとは異なる体験形式を構成する。

国際的な概念としての adult game は、(1) ビジュアルノベル系の物語型、(2) RPG・シミュレーション・アクション等のゲームシステム型、(3) 3D アバター操作型、(4) ブラウザ・モバイルのカジュアル型、(5) ポルノ動画にゲーム的要素を加えた型など、極めて多様な形式を含む。日本のいわゆるエロゲはそのうち主に (1)(2) を中核とする系譜であり、アダルトゲーム概念の重要な一部分を成すが、両者は完全な同義語ではない。

本項は、エロゲの項が日本国内の発達史と俗語的用法を主題とするのに対し、より広義のメディア形式概念としてのアダルトゲームを扱う。

語源と用法

「アダルトゲーム」は和製カタカナ語であり、英語の adult game を借用したものである。日本語の業界・流通用語としては「成人向けゲーム」「成年向けコンピュータゲーム」「18 禁ゲーム」とほぼ同義に用いられる。コンピュータソフトウェア倫理機構(通称ソフ倫)が用いる正式分類名は「成人向け」であり、パッケージ・配信プラットフォームの表記もこれに従う場合が多い。

英語圏には対応する明確な単語が複数並存する。adult video game(成年向けビデオゲーム)、adult game(成年向けゲーム)、porn game(俗語的、ポルノゲーム)、hentai game(日本系作品を指す俗語)、eroge(日本語からの借用)、visual novel(ビジュアルノベル、形式が一致する場合)などである。とりわけ eroge は和製英語的に英語圏で借用された語であり、日本産または日本様式に倣ったアダルトゲームを限定的に指す傾向がある要出典。本項のアダルトゲームはこれより広い概念であり、欧米産・中国産を含むあらゆる国・様式の作品を包含する。

略号としては「H ゲー」「H ゲーム」(ヘンタイの H に由来)も使われ、これは英語圏の hentai game と用法上ほぼ対応する。

歴史

黎明期(1970 年代後半–1980 年代前半)

世界最初期のアダルトゲームの一つとされるのが、1981 年に米国 On-Line Systems(後の Sierra On-Line)から発売された『Softporn Adventure』である。これはテキストアドベンチャー形式の作品で、Apple II 上で動作した。同年代、米国 Mystique 社は Atari 2600 向けに『Custer’s Revenge』(1982)などの作品を非公式に発売したが、性差別的内容と非合意的描写により広範な批判を受け、ハードウェア販売元の Atari からも公式には承認されなかった。

日本では、1982 年のコスモスコンピューター『ナイトライフ』、1983 年のコーエー(当時は光栄)『団地妻の誘惑』、1985 年のエニックス『ロリータシリーズ』(『ロリータ 野球拳』『マリちゃん危機一髪』など)が初期商業アダルトゲームとして知られる。これらは PC-8801・PC-9801・X1・MSX 等の家庭用 PC を主舞台とし、日本のアダルトゲーム市場の基礎を成した。

媒体史:PC からブラウザ・モバイルへ(1990 年代–2010 年代)

1990 年代を通じて、日本のアダルトゲームは PC-9801、Windows 95 以降の DOS/V 互換機、CD-ROM・DVD-ROM パッケージ流通を主軸として発達した。1992 年のエルフ『同級生』、1996 年の Leaf『雫』『痕』、1999 年の Key『Kanon』が、シナリオ重視のビジュアルノベル路線を確立した。詳細はエロゲビジュアルノベルの項に譲る。

海外では、1990 年代に Cyberlore Studios の『Playboy: The Mansion』(2005、Arush Entertainment)などが商業流通したが、家庭用ゲーム機メーカー(任天堂、ソニー、マイクロソフト)の厳格なライセンス審査によりコンソール市場ではアダルトゲームはほぼ排除された。米国では PC・Flash・ブラウザゲームを中心に、欧州・オセアニアではより緩やかな規制下で発達した。

2000 年代後半以降、Adobe Flash を用いたブラウザベースのアダルトゲームが世界的に拡散し、無料広告モデルでの大量流通が成立した。2010 年代に Flash がブラウザサポートを停止すると、HTML5・WebGL・Unity Web Player へと移行した。同時期、スマートフォンの普及により、iOS・Android 向けアプリ配信にもアダルトゲームが進出を試みたが、Apple App Store・Google Play は性的内容を厳しく制限しているため、現在は専用ストア・直接 APK 配布・ブラウザ経由が主流である。

ジャンルの分化(2000 年代–現在)

アダルトゲームは時代を経て、以下のような細分ジャンルに分化した。各ジャンルは独立した制作・流通生態系を形成している。

美少女ゲーム: 日本産の二次元美少女キャラクターを中心とする様式概念で、アダルトゲームと一般向け恋愛シミュレーション(ギャルゲー)を横断する。性描写の有無を問わず、二次元美少女表象を中心とする日本製ゲーム全般を指す広義のメディア概念として機能する。

抜きゲー: 性描写を中核に据え、シナリオより興奮を優先するエロゲのサブジャンル。短時間・高密度型の構造を特徴とする。

ビジュアルノベル: 立ち絵・背景・テキスト・BGM の統合により物語を進める形式。アダルトゲームと一般向けの双方にまたがる。

同人ゲーム: 商業流通を経ない個人・少数集団制作のアダルトゲーム。DLsite・FANZA・Itch.io 等で大量流通。

海外型アダルトゲーム: 米欧産の 3D アバター操作型(Illusion 系の輸出版、Western 産の Patreon 支援作品)、アクション・RPG 型、シミュレーション型など。Patreon・SubscribeStar 等のクラウドファンディング配信が成立している。

18+ 一般ゲーム枠: 性描写を含むが主軸は他にあるゲーム(Bethesda 系の MOD 文化、CD Projekt RED『The Witcher』『Cyberpunk 2077』、Larian Studios『Baldur’s Gate 3』等)。これらは ESRB Mature/Adults Only や CERO Z レーティングで流通する。

海外との比較:レーティングと規制

アダルトゲームの流通は、各国・地域のレーティング制度と規制法によって大きく規定される。

米国:ESRB AO レーティング

米国の Entertainment Software Rating Board (ESRB) は、ゲームのレーティングを Everyone (E)、Everyone 10+ (E10+)、Teen (T)、Mature 17+ (M)、Adults Only 18+ (AO) に区分する。AO レーティングは強い性的描写・極端な暴力を含む作品に付与され、家庭用ゲーム機メーカーの大半が AO 作品のライセンスを認めないため、事実上 PC およびオンライン配信限定となる。Walmart、Best Buy 等の大手小売もまた AO 作品を取り扱わないことが多い。この事実上の流通排除構造により、米国の純粋なアダルトゲーム市場は PC・ダウンロード配信に集約されている。

日本:CERO・ソフ倫の二重構造

日本では、家庭用ゲーム機向け作品はコンピュータエンターテインメントレーティング機構 (CERO) が A・B・C・D・Z(18 歳以上のみ対象)の 5 区分でレーティングする。Z 区分でも性描写は厳しく制限されており、純粋なアダルトゲームは原則として CERO 審査の対象外である。

PC 向けアダルトゲームは、コンピュータソフトウェア倫理機構(ソフ倫、1992 年設立)、コンテンツ・ソフト協同組合(CSA、2005 年〜)、エフ・エス・ケー(EFK)などの自主規制団体が事前審査・修正基準を運用する。性器表現は刑法 175 条のわいせつ図画頒布罪との関係でモザイク等の修正処理が義務化される。

欧州・その他

欧州では PEGI (Pan European Game Information) が 3・7・12・16・18 のレーティングを付与する。PEGI 18 は強い性描写・暴力を含む作品に付与され、米国の AO に近いが、家庭用ゲーム機での流通排除はやや緩やかである。ドイツの USK、英国 BBFC など、各国独自の追加審査制度もある。中国本土では性描写を含むゲームの流通は法的に禁止されており、輸入版・MOD 経由の地下流通が一般的とされる。

Steam の 18+ パッチ慣行

米国 Valve 社の運営する PC 配信プラットフォーム Steam は、2018 年にアダルトコンテンツの取り扱い方針を緩和し、Mature Content フィルタの解除により性描写を含む作品の販売を可能にした。これにより、それまで「全年齢版」と「18+ アダルトパッチ」を別配布していた多くの日本製ビジュアルノベルが、Steam 上で直接 18+ 版を販売できるようになった。ただし、Patch を別途公式サイト・MangaGamer・Denpasoft 等から無償ダウンロードして全年齢版に適用する旧来のスキームも依然として残っている。これは Steam の地域別審査基準(米国の極端ローカライズ要件、特定主題の禁止)を回避する慣行的手段として機能している。

主要配信プラットフォーム

現代のアダルトゲーム流通は、以下のプラットフォームが中核を成す。

DLsite(株式会社エイシス、1996 年〜): 同人・商業を横断する日本最大級のアダルトゲーム配信サイト。同人ゲーム抜きゲー・商業作品のすべてを扱い、月間配信本数は数千本規模。海外向けの英語・中国語・韓国語インターフェイスも提供する。

FANZA Games(旧 DMM GAMES、合同会社 EXNOA): DMM グループのアダルトゲーム配信プラットフォーム。ダウンロード版に加え、ブラウザ・スマートフォン向けのソーシャル系アダルトゲームを多数擁する。

Itch.io(米): インディーゲーム配信プラットフォーム。NSFW (Not Safe For Work) フィルタを通じて、海外産・国際的なアダルトゲームを配信する。Patreon と連動した個人作家の配信先として広く活用される。

Steam(米 Valve): 2018 年以降、Mature Content フィルタを通じてアダルトゲームを公式に販売。MangaGamer・JAST USA・Denpasoft 等の英語化パブリッシャーが日本産作品の英語版を出品する主舞台でもある。

Nutaku(カナダ): アダルトゲーム専門の配信プラットフォーム。ブラウザ・ダウンロード・スマートフォン向けに、日本産・海外産アダルトゲームを多言語展開する。

Patreon・SubscribeStar(米): 直接的な販売プラットフォームではないが、海外個人開発者によるアダルトゲームの開発資金調達と早期アクセス配布の主要経路となっている。月額課金モデルにより、長期開発型のアダルトゲーム(『Summertime Saga』『Being a DIK』等)を支える経済基盤を形成している。

文化的言及・批評

アダルトゲームは、サブカルチャー研究・ゲーム研究の正面の対象として 2000 年代以降論じられるようになった。日本では、東浩紀・更科修一郎ほか『美少女ゲームの臨界点』(波状言論、2004)、宮本直毅『エロゲー文化研究概論』(総合科学出版、2013)が代表的論考である。中川大地『コンピュータゲームの神話学』(PLANETS、2016)は、日本ゲーム史の総合記述の中にアダルトゲームを正面から位置づけた。

英語圏では、Saito Tamaki(訳: J. Keith Vincent)の Beautiful Fighting Girl(University of Minnesota Press, 2011)が精神分析的視点から日本産アダルトゲームのキャラクター文化を論じる。Patrick W. Galbraith ほかの研究は、日本のアダルトゲームを文化人類学・メディア論の観点から国際的読者に紹介する役割を果たしている。

アダルトゲームは、ビデオゲームというメディアが性表現を能動的・反復的・選択可能な体験へと変換する装置として、現代の性文化と娯楽産業の交差点に位置している。各国の規制とプラットフォーム経済の制約のもとで、固有の流通生態系を発達させてきたメディア形式である。

関連項目

参考文献

  1. 更科修一郎ほか 『美少女ゲームの臨界点』 波状言論 (2004)
  2. 宮本直毅 『エロゲー文化研究概論』 総合科学出版 (2013)
  3. 中川大地 『コンピュータゲームの神話学』 PLANETS (2016)
  4. Saito, Tamaki 『Beautiful Fighting Girl』 University of Minnesota Press (2011)
  5. 『ESRB Ratings Guide』 Entertainment Software Rating Board https://www.esrb.org/ratings-guide/
  6. 『CERO レーティング制度』 特定非営利活動法人 コンピュータエンターテインメントレーティング機構 https://www.cero.gr.jp/
  7. 『Adult video game - Wikipedia』 Wikipedia (English) https://en.wikipedia.org/wiki/Adult_video_game

別名

  • 成人向けゲーム
  • Hゲー
  • adult game
  • 18禁ゲーム
  • 成年向けコンピュータゲーム
続けて読まれたエロ単語 Ero Words

アダルトアニメ あだるとあにめ / adarutoanime

エロ作品

AI 生成エロ えーあいせいせいえろ / eeaiseiseiero

エロ作品

美少女ゲーム びしょうじょげーむ / bishoujogeemu

エロ作品

ボーイズラブ ぼーいずらぶ / booizurabu

エロ作品

CG 集 しーじーしゅう / shiijiishuu

エロ作品