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美少女ゲーム

bishoujogeemu

夜の自室、CRT モニタの青い光に照らされた机の上に、フロッピーディスクや CD-ROM のパッケージが積まれていた時代。表紙にはパステル調で描かれた制服姿の少女たち。プレイヤーは画面の中で繰り返し選択肢を選び、ヒロインの好感度を少しずつ動かしながら、夏休みの最終日に告白の場面を迎える。文芸でも漫画でもアニメでもない、操作と選択を介したキャラクター関係性の体験が、そこに成立していた。

美少女ゲーム(びしょうじょげーむ、ギャルゲ、ギャルゲー、英: bishoujo game)とは、複数の美少女キャラクターを主たる登場対象とし、その関係性の構築・恋愛・性描写を中心的主題とする日本のコンピュータゲームの総称である。本項では 1990 年代に確立した「美少女キャラクターを攻略対象とするアダルトゲーム」というジャンル形式を中軸に、その派生としての家庭用全年齢市場、海外 dating sim との対応関係、ならびに日本サブカルチャーへの影響を扱う。狭義には PC アダルトゲームの一形態であるエロゲと重なるが、本項ではより広い形式概念として記述する。

概要

美少女ゲームは、形式・主題・市場の三層から定義される複合概念である。形式上はアドベンチャーゲーム・ビジュアルノベル・恋愛シミュレーション・育成シミュレーション等の多様なジャンルを横断する。主題上は美少女キャラクターとの関係性が中心に置かれる。市場上は 1990 年代以降に確立した PC アダルトゲーム市場と、その全年齢派生としての家庭用ゲーム機市場に大別される。

「美少女ゲーム」と「エロゲ」「アダルトゲーム」「ギャルゲー」の語の用法は厳密ではない。業界・批評・ファンの場面ごとに使い分けられ、おおむね次のような傾向がある。「アダルトゲーム」は性描写の有無を強調する流通上の呼称、「エロゲ」は性描写を主眼に置くファン用語、「美少女ゲーム」は性描写の有無を問わずキャラクター主題に焦点を当てる総称、「ギャルゲー」は美少女ゲームの口語的略称で、特に恋愛要素を強調する場面で用いられる。本項では「美少女ゲーム」を最広義の総称として扱う。

語源

「美少女」の語は明治期以降の文学用語として存在したが、サブカルチャー文脈における「美少女」概念は、1980 年代の漫画・アニメ・コンピュータ表現を介して再定義された。詳しくは美少女の項を参照。

「美少女ゲーム」という複合語は、1980 年代後半から 1990 年代前半の PC ゲーム雑誌・販売店において使用が始まり、1990 年代半ばに業界・ファン双方で定着した要出典。雑誌『パソコンパラダイス』『電撃姫』『TECH GIAN』等が「美少女ゲーム」をジャンル名として明示的に用いた媒体として知られる。

英語圏では「bishoujo game」の音訳語が 2000 年代以降ファンコミュニティで定着し、これと並行して「dating sim」(英語圏で先行して普及していた語)が日本の美少女恋愛シミュレーションを指す訳語として用いられている。両者は概念的に完全に重ならず、「bishoujo game」は美少女主題を、「dating sim」は恋愛シミュレーション形式を強調する点で差異がある。

歴史

前史:アダルトゲーム黎明期(1980 年代)

1981 年から 1982 年にかけて、PC-8801・FM-7 等の日本国産パソコン市場で、コスモスコンピューター『野球拳』、光栄『団地妻の誘惑』(1983)、コスモスコンピューター『ナイトライフ』(1982)等のアダルトゲームが発売された。これらは性描写を主軸とするものの、解像度・色数の制約から表現は静止画とテキストの組合せに留まった。「美少女キャラクター」というよりは大人の女性主体の表現が多く、現代的な意味での「美少女ゲーム」概念は未成立であった。

1980 年代後半には、エニックス『ロリータ』(1985)等を経て、アダルトゲームの主題が「成人女性との性的関係」から徐々に「若年の少女キャラクターとの関係性」へとシフトする。これは同時期の漫画・アニメにおけるキャラクター造形の変化(あだち充、高橋留美子、ロリコンブーム等)と並行する現象であった。

ジャンル成立期:エルフ『同級生』(1992)

美少女ゲームというジャンル形式の成立は、1992 年 12 月のエルフ『同級生』をひとつの画期とする。本作は、夏休みを舞台に複数の女子生徒・教師・町の女性とのスケジュール管理型恋愛シミュレーションを採用し、「性描写そのものより、関係構築の過程の方が中心的体験になる」というジャンル的転換を提示した。

『同級生』は、(1) 複数ヒロインの並列攻略、(2) スケジュール管理によるリアルタイム時間進行、(3) ヒロインごとに用意された個別シナリオ、(4) 性描写を関係性の到達点として配置する構造、という四要素を組み合わせた。これらの要素はその後の美少女ゲームの基本フォーマットとなった。続編『同級生 2』(1995)、『下級生』(1996)とともにエルフは 1990 年代前半の美少女ゲーム市場を牽引した。

同時期、レベルファイブ前身の Bothtec、F&C、TGL、ZyX 等の中小メーカーが多様なテーマで参入し、PC-9801・X68000 等のプラットフォーム上に美少女ゲームの第一次黄金期が形成された。

全年齢市場との接続:コナミ『ときめきメモリアル』(1994)

1994 年 5 月、コナミは PC エンジン CD-ROM² 版『ときめきメモリアル 〜forever with you〜』を発売した。本作は性描写を一切含まない全年齢恋愛シミュレーションとして、家庭用ゲーム機市場における美少女ゲーム形式の成立を告げた。1995 年のプレイステーション移植、1996 年のセガサターン移植を通じて社会現象級のヒットとなり、ヒロイン藤崎詩織は当時のキャラクター人気投票の上位常連となった。

『ときめきメモリアル』の成功は、美少女ゲームというフォーマットが PC アダルト市場の外、すなわち家庭用全年齢市場でも商業的に成立しうることを実証した。以後、家庭用機向けの全年齢美少女ゲーム(「ギャルゲー」と呼ばれることが多い)が独立した市場として発展した。

Leaf・Key 期:ビジュアルノベル化(1996–2004)

1996 年の Leaf『雫』『痕』、1997 年『To Heart』が、画面全体を覆うテキストウィンドウとキャラクター立ち絵によるビジュアルノベル形式を確立した。これにより、スケジュール管理型シミュレーションに代わって、シナリオを「読ませる」ことを中心に据えた美少女ゲームが主流化した。

1999 年の Key『Kanon』、2000 年『AIR』、2004 年『CLANNAD』は、感動シナリオ・「泣ける」物語性を売りにする「泣きゲー」の作風を確立した。シナリオライター麻枝准、原画家樋上いたるらが、この時期の美少女ゲーム作家像のスタンダードを定めた。同時期、TYPE-MOON は同人版『月姫』(2000)、商業版『Fate/stay night』(2004)で、伝奇・バトル要素と複数ヒロインルートを組み合わせた重厚な美少女ゲームを世に送り出した。

『Fate/stay night』はその後アニメ・劇場版・ソーシャルゲーム『Fate/Grand Order』(2015)へと展開し、美少女ゲーム発の世界規模 IP となった。

拡散期:DL 配信・スマホ・海外展開(2010–現在)

2010 年代以降、美少女ゲームの主戦場はパッケージ販売から DL 配信(DLsite、FANZA、Steam)、スマホアプリ、ソーシャルゲームへと多元化した。商業 PC アダルト市場は出荷規模で縮小したが、Steam での全年齢移植版や英語圏向けローカライズ、同人ゲーム市場の台頭が新たな受容層を開拓している。

2010 年代後半以降は、アニメ化を前提とする原作 IP としての美少女ゲーム制作よりも、ソーシャルゲーム『アイドルマスター』『ウマ娘 プリティーダービー』『ブルーアーカイブ』等、運営型の美少女コンテンツへと商業的中心が移行している。これらは形式上は美少女ゲームの直系子孫でありながら、F2P・運営型ビジネスモデルを採用する点で従来のパッケージ型美少女ゲームとは性格を異にする。

派生形態とサブジャンル

美少女ゲームは形式・主題に応じて多数のサブジャンルに分化している。代表的な区分を以下に挙げる。

恋愛シミュレーション(恋愛 SLG): スケジュール管理・パラメータ育成を介してヒロインとの関係を進展させる形式。『ときめきメモリアル』『同級生』を典型とする。

美少女ビジュアルノベル: テキスト・立ち絵・選択肢分岐でシナリオを読ませる形式。『To Heart』以降の主流。

抜きゲー: 性描写を中心的に消費する低時間・高密度型の美少女ゲーム。

泣きゲー: 感動シナリオを売りにする美少女ビジュアルノベル。Key 作品が代表。

燃えゲー: 伝奇・バトル要素を組み込む美少女ゲーム。TYPE-MOON 作品が代表。

育成シミュレーション: ヒロインを長期的に育成する形式。『プリンセスメーカー』(1991, ガイナックス)が先駆。

ハーレム型・凌辱型・寝取られ型等: 性的状況のフレームを軸に分化したサブジャンル群。

家庭用ギャルゲー: 性描写を含まない全年齢の家庭用機向け作品。乙女ゲーム(女性向け恋愛ゲーム)もこの系譜に含めうる。

海外 dating sim との対応

英語圏で「dating sim」と呼ばれるジャンルは、日本の恋愛シミュレーションが翻訳・移植される過程で形成された概念である。1990 年代の北米市場では美少女ゲームは商業的に流通しなかったが、2000 年代後半のファン翻訳プロジェクト(『Tsukihime』『Fate/stay night』英訳パッチ)を経て、英語ファンコミュニティが形成された。

2010 年代に入り、Steam がビジュアルノベル・dating sim の正規流通プラットフォームとして機能した。海外発の dating sim(米国 Christine Love『Digital: A Love Story』、カナダ Team Salvato『Doki Doki Literature Club!』等)も登場し、日本発のジャンルが国際的形式概念へと拡張する過程が進行している。

韓国・中国市場では 2010 年代以降、自国産美少女ソーシャルゲームが急速に発達し、『崩壊』シリーズ・『原神』(miHoYo)等が日本産美少女コンテンツと競合・補完する関係を築きつつある。

文化人類学的・社会学的考察

美少女ゲームは、現代日本のサブカルチャー研究における主要な対象である。

東浩紀『動物化するポストモダン』(講談社現代新書、2001)は、1990 年代後半以降のオタク文化を「物語消費から萌え要素のデータベース消費へ」のパラダイム転換として捉え、その典型として美少女ゲームのキャラクター造形を論じた。続編『ゲーム的リアリズムの誕生』(2007)では、美少女ビジュアルノベルの選択肢分岐構造を「ゲーム的リアリズム」と呼び、近代小説の写実主義とは異なる物語形式として位置づけた。

更科修一郎・元長柾木・東浩紀ほか『美少女ゲームの臨界点』(波状言論、2004)、続編『美少女ゲームの臨界点+1』(2005)は、ゼロ年代美少女ゲーム批評の到達点とされる。シナリオライター・原画家の同時代インタビューと作品論を集成し、美少女ゲームを文芸批評・思想史の対象として正面から扱った。

宮台真司・石原英樹・大塚明子『サブカルチャー神話解体』(PARCO 出版、1993)は、美少女ゲームそのものを直接論じてはいないが、1980〜1990 年代の少女表象の変容を社会学的に追跡し、美少女ゲーム研究の理論的前提を成した。

本田透『電波男』(三才ブックス、2005)は、二次元キャラクターへの愛情表明を「脳内恋愛」として肯定する立場から、美少女ゲームを含むオタク的恋愛文化を擁護した一種の宣言文学として読まれた。著者自身は精神分析的・哲学的議論を主軸に置くが、当時のオタク男性の自意識を象徴する文書として広く読まれた。

精神医学者・斎藤環は『戦闘美少女の精神分析』(太田出版、2000、英訳『Beautiful Fighting Girl』2011)で、戦闘美少女キャラクターの享受構造をラカン派精神分析の枠組みで論じた。これは美少女キャラクターの享受を病理化せず、現代日本のメディア文化の固有形式として記述する視座を提示した。

中川大地『コンピュータゲームの神話学』(PLANETS、2016)は、美少女ゲームを含む日本ゲーム史を総合的に記述する大著で、美少女ゲームの章立てに独立した位置づけを与えている。

産業構造と現状

美少女ゲーム業界は、1990 年代後半から 2000 年代前半にピークを迎え、2010 年代以降はパッケージ市場の縮小と DL 配信・ソーシャルゲーム化の波に直面している。商業 PC アダルトゲーム市場の年間出荷規模はピーク時の数百億円から大幅に縮小したとされる要出典

その一方、原作 IP としての美少女ゲームは、アニメ化・舞台化・ソーシャルゲーム化を通じて広範な経済圏を形成しており、形式としての美少女ゲームの中心は失われていない。ソーシャルゲーム『Fate/Grand Order』『アイドルマスター』『ウマ娘』等は、形式上は美少女ゲームの直系子孫として位置づけられる。

家庭用ギャルゲー(全年齢)市場は、Nintendo Switch・PlayStation 等を主軸に独自の市場を維持している。アダルト版 PC 市場で発表された作品が後に家庭用機・スマホ向けに性描写を除いた形で移植される流通形態は、1990 年代以来一貫して機能している。

文化的言及

美少女ゲームは、日本サブカルチャーの形成期に成立した固有のメディア形式として、漫画・アニメ・ライトノベル・同人誌・コスプレ等と相互に影響を及ぼしながら発展した。アニメ化された美少女ゲーム原作は数百タイトルに及び、『To Heart』『Kanon』『CLANNAD』『Fate/stay night』『シュタインズ・ゲート』等が代表である。

美少女ゲームのキャラクター造形・物語類型は、後発の二次創作同人ゲーム・スマホソーシャルゲーム・VTuber 等の表現に多大な影響を与えた。「ツンデレ」「ヤンデレ」「妹系」「幼馴染」等のキャラクター類型語は、美少女ゲーム批評を経由して一般化したものが多い。

国際的には、美少女ゲームは日本発のサブカルチャー輸出品の一つとして、『SHENMUE』『METAL GEAR』等のアクションゲームと並ぶ「日本ゲーム」のもう一つの顔を成している。

関連項目

参考文献

  1. 更科修一郎ほか 『美少女ゲームの臨界点』 波状言論 (2004)
  2. 更科修一郎ほか 『美少女ゲームの臨界点+1』 波状言論 (2005)
  3. 東浩紀 『動物化するポストモダン オタクから見た日本社会』 講談社現代新書 (2001)
  4. 東浩紀 『ゲーム的リアリズムの誕生 動物化するポストモダン2』 講談社現代新書 (2007)
  5. 宮台真司・石原英樹・大塚明子 『サブカルチャー神話解体 少女・音楽・マンガ・性の変容と現在』 PARCO 出版 (1993)
  6. 本田透 『電波男』 三才ブックス (2005)
  7. 中川大地 『コンピュータゲームの神話学』 PLANETS (2016)
  8. Saito, Tamaki 『Beautiful Fighting Girl』 University of Minnesota Press (2011)

別名

  • ギャルゲ
  • ギャルゲー
  • bishoujo game
  • dating sim
  • 美少女恋愛ゲーム
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