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エロ単語辞典
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shukan
分類フェチ・嗜好 別名shukan / 主観視点 / POV / point of view / 主観モノ 用例主観モノの作品」 主観視点撮影」 用法名詞 ▸ 累計 PV

カメラを男優の目の高さに置く。それだけで作品の視聴体験は別物になる。映像技法の小さな選択が、ひとつのジャンルを作った。

主観(しゅかん)とは、AV(アダルトビデオ)・成人向け映像作品における撮影手法の一種で、男性出演者の視点位置に近いカメラ角度・カメラ位置から女性出演者を撮影する方式の総称である。英語圏の同類概念 POV(point of view)に対応する日本独自の業界用語で、視聴者の自己投影を強める演出として 2010 年代以降に独立ジャンル化した撮影様式として把握される。

概要

主観撮影では、カメラを男性出演者の頭部位置あるいは胸部位置に近い高さに設置し、男性出演者の視野角に近い構図を画面に再現する。多くの場合、男性出演者の身体の一部(腕・胴体・腰部等)が画面下端にフレームインする状態で撮影され、視聴者が男性出演者の視点を借りて場面を体験する効果を狙う。

伝統的な AV 撮影が、第三者視点(俯瞰・遠景・複数アングル切替等)から男女双方を客観的に映し出す構図を中核としてきたのに対し、主観撮影は視聴者の自己投影を最大化する撮影方式として機能する。同方式の独立ジャンル化は、2010 年代以降の業界の競争激化・視聴者の細分化された嗜好への対応という業界動向の文脈の中で進展した。

主観方式は、作品全体を通じて一貫して採用される場合と、作品の一部のシーンのみで採用される場合の両者がある。前者は「主観モノ」「主観モノオンリー」等と呼ばれ独立ジャンルを形成し、後者は他撮影方式との混合作品の一部として用いられる。

語源

「主観」は漢字「主」(おもな、ぬし)と「観」(みる、ながめる)からなる漢語で、哲学・認識論用語として「個人の意識から見た立場」「客観に対する語」の意味を持つ近代日本語の翻訳語(英語 subjective、ドイツ語 subjektiv の訳語)である。明治期の翻訳学術用語として定着した語が、20 世紀末以降の AV 業界用語として転用された経緯を持つ。

英語圏で対応する業界用語は POV(point of view、視点)である。同語は元来、文学批評・映画批評の術語として 20 世紀初頭から用いられてきた一般語であるが、2000 年代以降の英語圏成人向け映像業界において、当該撮影方式を指す業界用語として一般化した。

日本の AV 業界における「主観」の業界用語化は、2000 年代後半から 2010 年代にかけて進展したと見られる 要出典。当初は撮影技法の一として単発的に用いられた語が、視聴者層の拡大に伴い独立ジャンル名として定着した経緯を持つ。

歴史と展開

前史: 一人称視点の映像表現

一人称視点の映像表現は、映画史において早くから試みられてきた技法である。ロバート・モンゴメリー監督『湖中の女』(Lady in the Lake, 1947 年)は、長編映画の全編を主人公の一人称視点で撮影した古典的試みとして知られる。

成人向け作品においても、一人称視点を部分的に採用した撮影は早くから行われてきた。1970 年代以降の成人向けビデオの一部シーンで、男性出演者の視点に近い構図が採用された例は散見される。

2000 年代: 業界用語化の進展

2000 年代に入り、ビデオ媒体から DVD 媒体への移行・インターネット配信の本格化を背景に、AV 業界では撮影方式の細分化・ジャンル化が進展した。視聴者の嗜好の多様化に対応するため、専門ジャンルとしての主観撮影作品が制作・流通するようになった。

2000 年代後半には、米国・欧州の成人向け映像業界における POV 作品の流行が、日本の業界にも一定の影響を与えた。同時期に日本の AV 業界では「主観」という業界用語が確立し、独立ジャンルとしての位置を獲得した。

2010 年代: 独立ジャンル化

2010 年代以降、主観撮影は AV 業界の中核的ジャンルのひとつとして位置を確立した。専門レーベル・専門シリーズ・専門出演者の登場が見られ、主観方式に特化した作品制作の体系が成立した。

FANZA・DMM 等の主要配信プラットフォームのジャンル分類においても、「主観」は独立カテゴリとして表示されるに至っている。同ジャンルの作品は、視聴者の自己投影を強める演出を中核とする一方、伝統的撮影方式とは異なる撮影上の制約(視野角の制限、男性出演者の動作の制約等)を伴うため、独自の演出技法を発達させてきた。

VR 媒体への展開

2010 年代後半以降、VR(仮想現実)技術の普及に伴い、VR 映像における主観撮影は、より没入的な視聴体験を提供する方式として独立した一ジャンルを形成した。VR ヘッドセットの装着により、視聴者の視野全体に主観映像が展開される視聴体験は、平面映像における主観撮影とは質的に異なる体験を成立させる。

派生形態と隣接概念

撮影方式による細分化

主観撮影には、撮影方式により細かい分節がある:

  • 完全主観: カメラを男性出演者の頭部位置に固定し、男性出演者の身体動作とカメラ動作を同期させる方式。
  • 疑似主観: カメラを男性出演者の頭部に近い位置に置きつつ、編集上の自由度を保持する方式。
  • 部分主観: 作品の一部シーンのみで主観撮影を採用する方式。

ハメ撮りとの関係

ハメ撮り(男性出演者自身が撮影しながら行為に及ぶ撮影方式)は、主観撮影の一形態として位置づけられる場合がある。両者は重なる領域を持つが、ハメ撮りが「撮影者が出演者を兼ねる」という人物配置を中核とするのに対し、主観撮影はあくまで視点位置の選択を中核とする概念である点で区別される。

ASMR との関係

近年の主観撮影作品においては、音響面でも視聴者の没入感を高めるための工夫が施される場合が多い。バイノーラル録音(両耳の位置に近い 2 マイク録音)による立体音響、囁き声・接近音等の音響効果は、隣接するASMR領域と接続する技法として機能している。

オナニー サポートとしての位置

主観撮影作品の独立ジャンル化は、視聴者の自慰時の自己投影を支援するというより明示的な機能性を持つ作品類型の成立と並行する現象である。視聴者の自己投影を最大化する撮影方式は、当該機能性に直接奉仕する形式として論じられる場合がある。

文化的言及

視聴者層の構造

主観撮影作品の支持層は、伝統的 AV 視聴者層と部分的に重なりつつも、独自の特徴を持つとされる。視聴者の自己投影を重視する嗜好を持つ層が、当該ジャンルの中核ファン層を構成する 要出典

表現論的位置

主観撮影は、第三者視点を基本とする伝統的映像表現に対するオルタナティブとしての位置を持つ。視点の選択を作品の中核要素として主題化する点で、表現論的にも独自の関心を惹起する技法である。

関連項目

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参考文献

  1. 『AV 撮影技法』 アダルトビデオ業界誌(複数) (2010-2020) — 撮影手法としての主観の業界誌記述
  2. Andrea Dworkin 『Pornography: Men Possessing Women』 Putnam (1981) — 視点演出と視聴者心理に関する論考
  3. 『現代用語の基礎知識』 自由国民社 (2015)
  4. 藤木 TDC 『アダルトビデオ革命史』 幻冬舎新書 (2009)
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