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ピンク映

pinkueiga
分類歴史・文化 別名ピンク映画 / 成人映画 / pink film / 戦後ピンク映画 / ロマンポルノ 用例「若松孝二監督のピンク映画 「新東宝のピンク映画 用法名詞・動詞 ▸ 累計 PV

ピンク映画とは、1960 年代以降の日本に発達した独立系成人映画のジャンルであり、戦後日本の映画産業史において固有の位置を占める制作・流通形態である。

ピンク映画(ぴんくえいが、英: pink film)は、1962 年(昭和 37 年)以降の日本において、独立系プロダクションにより制作・配給された低予算・短時間の成人映画ジャンルを指す。低予算かつ短期間で制作されながら、若松孝二、石井輝男、神代辰巳、新藤兼人ら戦後日本映画の重要な作家を輩出した制作領域として、映画史上独立の位置を占める。本項では成立、最盛期、現代までの変遷を扱う。

概要

ピンク映画は、メジャー映画会社(松竹・東宝・大映・東映・日活)の作品とは異なる独立系制作会社により、35mm フィルムで制作され、専門の成人映画館で上映された。1 本あたりの上映時間は 60–70 分程度、3 本立て興行が標準で、制作予算は当時の一般作品と比して大幅に低い水準で抑えられた。

ピンク映画の特徴は、性表現を主題としつつ、政治・社会・実存的主題を併せ持つ作品群が継続的に制作された点にある。とりわけ若松孝二、足立正生、ATG(アート・シアター・ギルド)系の作家による作品は、成人映画の枠を超えた前衛的・実験的映像表現を追求し、海外映画祭でも評価を獲得した。

名称

「ピンク映画」の語は、1963 年頃の新聞記事において、独立系プロダクションによる成人映画を指す名称として用いられはじめたとされる要出典。「ピンク」が成人向け表現を意味する語として広まった用法であり、日本独自の語彙として定着した。

それ以前、成人向け映画は「成人映画」「お色気映画」などの語で呼ばれていた。「ピンク映画」の語の確立は、当該ジャンルの社会的可視化と並行する現象として記述される。

歴史

黎明期: 1962–1965

ピンク映画の起点とされるのは、1962 年の小林悟監督・大蔵映画製作『肉体の市場』である。同作は独立系プロダクションによる成人映画の本格的な商業上映の最初期事例として位置づけられる。続いて 1963 年から 1964 年にかけて、新東宝、北星映画など複数の独立系プロダクションがピンク映画製作に参入し、専門上映館も全国に展開された。

発展期: 1960 年代後半〜1970 年代

1960 年代後半、若松孝二による独自の作家性を持つピンク映画が登場し、ジャンルの表現可能性を大きく拡張した。若松プロダクション設立(1965)以降、若松は『胎児が密猟する時』(1966)、『壁の中の秘事』(1965、ベルリン国際映画祭出品)、『犯された白衣』(1967)など、政治的・社会的主題をピンク映画の枠で展開した。

足立正生、大島渚、神代辰巳、田中登、武智鉄二らも、当該時期にピンク映画ないしその隣接領域で活動し、戦後日本映画の作家群の重要な系譜を形成した。

ロマンポルノとの並立: 1970 年代

1971 年、メジャー映画会社の日活が経営難打開のため成人映画路線(日活ロマンポルノ)に転換し、メジャー資本による成人映画制作が始まった。これによりピンク映画市場は、独立系のピンク映画とメジャー系のロマンポルノが並立する状況となった。

ロマンポルノは、より高い予算・大きな配給網・既存映画会社の俳優・スタッフを背景に、ピンク映画とは異なる作家性を発展させた。ピンク映画側はより低予算・より自由な題材選択を維持し、両者は競合しつつ相互に影響を与えあう関係性を保った。

衰退期: 1980 年代以降

1980 年代以降、家庭用ビデオデッキの普及とアダルトビデオの登場により、成人映画市場は急激に変化した。映画館での成人映画鑑賞から家庭でのビデオ視聴への移行は、ピンク映画・ロマンポルノの双方にとって市場縮小の決定的要因となった。

1988 年に日活ロマンポルノは正式に終了したが、ピンク映画は規模を縮小しつつ継続した。「ピンク四天王」と呼ばれる佐藤寿保、瀬々敬久、佐野和宏、サトウトシキらが、1990 年代に独自の作家性を持つピンク映画を継続的に発表した。

現代

2000 年代以降、上映館数の継続的減少にもかかわらず、ピンク映画は規模を縮小しつつ存続している。新人監督の登竜門としての機能(若手監督が低予算で作家性を発揮できる場として)、海外映画祭での評価、ドキュメンタリー・回顧上映の継続的開催などが、現代におけるピンク映画の文化的位置づけを支えている。

映画史的意義

ピンク映画は、戦後日本映画の主要な流派の一つとして、映画史上の独立した位置を占める。低予算・短期間・成人映画という制約の中で、若松孝二、神代辰巳、周防正行、崔洋一、滝田洋二郎、黒沢清など、メジャー映画界に転じて重要な作品を残した監督群の出発点として機能した。

性表現を主題としながら、政治・社会・実存・芸術的主題を扱った作家群の存在は、ピンク映画を単なる商業的成人映画とは異なる位相に置いた。1960 年代後半から 1970 年代の若松・足立らによる作品群は、世界の独立系映画史においても固有の位置を占める。

関連項目

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参考文献

  1. 鈴木義昭 『ピンク映画水滸伝―その二十年史』 現代書館 (1983)
  2. Sharp, Jasper 『Behind the Pink Curtain: The Complete History of Japanese Sex Cinema』 FAB Press (2008)
  3. 佐藤忠男 『日本映画史 第3巻』 岩波書店 (1995)
  4. 国友隆一 『ピンク映画 闘いの三十年』 ワイズ出版 (1992)
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