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児童買春処罰法

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分類法律・社会 用例児童買春処罰法違反で逮捕された」 児童買春処罰法は域外適用される」 用法名詞・動詞 最終更新 ▸ 累計 PV

1996 年、ストックホルムで「子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議」が開催され、日本は児童買春の主要な需要国・供給国の一つとして国際的批判を浴びた。東南アジア諸国への日本人男性による「買春ツアー」が新聞・国際機関の報告で繰り返し報じられ、国内の法制度の不備が露呈する中、議員立法として 1999 年に成立したのが、通称「児童買春処罰法」である。

児童買春処罰法(じどうばいしゅんしょばつほう)とは、正式名称「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(平成 11 年法律第 52 号)の通称の一つである。1999 年(平成 11 年)5 月 26 日公布、同年 11 月 1 日施行。18 歳未満の児童に対償を供与し性交等を行う「児童買春」を犯罪化するとともに、児童ポルノの製造・提供・所持等を処罰し、児童に対する性的搾取・性的虐待の規制と被害児童の保護を目的とする(1 条)。「児童買春・児童ポルノ禁止法」「児ポ法」とも呼ばれる。本項では同法のうち、とりわけ児童買春規定の構造、立法経緯、域外適用、国際比較、関連する規制論争を中心に扱う。児童ポルノ規定の詳細は児童ポルノ法の項に譲る。

概要

児童買春処罰法は、1990 年代における国際的な児童保護法制の整備潮流の中で、議員立法として成立した日本の刑事法である。同法は二つの中心的規制対象を持つ。第一に「児童買春」(4 条)、すなわち 18 歳未満の児童に対償を供与しまたは供与する約束をして性交等を行う行為であり、第二に「児童ポルノ」(2 条 3 項)、すなわち 18 歳未満の児童の性的姿態を視覚的に描写した記録物の製造・提供・公然陳列・所持等である。

加えて同法は、児童買春に係る周旋・勧誘・場所提供等の周辺行為(5–8 条)を処罰し、被害児童の保護のための措置(15 条以下)、捜査・公判における児童の心身への配慮(13–14 条)を規定する。日本の刑事法体系における児童保護立法の中核を成す存在であり、刑法における強制性交等罪・不同意性交等罪や、売春防止法などの関連立法と相互に補完する関係にある。

立法経緯

国際的潮流

1989 年の国連子どもの権利条約(Convention on the Rights of the Child)採択、1994 年の日本による同条約批准は、児童保護に関する国際法的枠組みの基礎を成した。同条約 34 条は、児童をあらゆる形態の性的搾取・性的虐待から保護する義務を締約国に課す。

決定的な契機となったのは、1996 年 8 月にストックホルムで開催された「第 1 回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議」(World Congress against Commercial Sexual Exploitation of Children)である。同会議で採択された「ストックホルム宣言・行動計画」は、児童買春・児童ポルノ・児童の人身取引の三領域における各国法制度整備を求めた。

日本の状況と国際的批判

1990 年代の日本は、児童買春・児童ポルノを直接の保護法益とする刑事規制を欠いており、国際的に深刻な批判を受けていた。当時、児童に対する性的行為は刑法 175 条(わいせつ物頒布等罪)、児童福祉法 34 条(児童に淫行をさせる行為の禁止)、各都道府県の青少年健全育成条例(淫行条例)などにより断片的に規制されていたが、いずれも児童を性的搾取から保護することを直接の目的とする立法ではなかった要出典

とりわけタイ・フィリピン等の東南アジア諸国における日本人男性による児童買春は、1980 年代から 1990 年代にかけて繰り返し国際機関・現地 NGO・日本のメディアによって告発され、「買春ツアー」「セックスツーリズム(sex tourism)」として国際社会に認知されていた。1995 年に End Child Prostitution in Asian Tourism (ECPAT) が日本支部を設立し、国内のロビー活動を本格化させた。

立法と成立

1999 年 5 月 18 日に衆議院、5 月 26 日に参議院で、衆参両院の全会一致をもって本法は成立した。法案提出者には森山眞弓、野田聖子、小宮山洋子ら超党派の女性議員が名を連ねた。同年 5 月 26 日公布、11 月 1 日施行。立法当時の正式名称は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」であったが、2004 年改正で「規制及び」が加わり現名称となった。

構成要件

「児童」の定義

本法における「児童」は、18 歳に満たない者を指す(2 条 1 項)。これは民法上の成年年齢(2022 年以降 18 歳)、刑法上の同意年齢(2023 年改正後は原則 16 歳)とは別個の独立した年齢区分であり、本法独自の保護対象を画定する。

「児童買春」の定義(2 条 2 項)

本法 2 条 2 項は「児童買春」を、次の三類型に該当する者に対して、対償を供与しまたは供与する約束をして、当該児童に対し性交等(性交、性交類似行為、自己の性的好奇心を満たす目的で行う、児童の性器等を触り、または児童に自己の性器等を触らせること)をすることと定義する。

  1. 児童
  2. 児童に対する性交等の周旋をした者
  3. 児童の保護者(親権を行う者・後見人その他の者で児童を現に監護するもの)または児童をその支配下に置いている者

すなわち、児童本人だけでなく、周旋者・保護者・支配下置者を介した対償供与であっても、児童買春に該当しうる。「対償」は金銭に限らず、物品・サービス・便宜の供与なども広く含む。

児童買春の処罰(4 条)

児童買春をした者は、5 年以下の懲役または 300 万円以下の罰金に処される(4 条)。なお、児童側(被害児童)は処罰されない(児童は本法における保護法益の主体である)。

周辺行為の処罰

  • 児童買春周旋(5 条):児童買春の周旋をした者は 5 年以下の懲役および 500 万円以下の罰金、業として行った場合 7 年以下の懲役および 1000 万円以下の罰金
  • 児童買春勧誘(6 条):児童買春の勧誘をした者は 5 年以下の懲役または 500 万円以下の罰金、業として行った場合 7 年以下の懲役および 1000 万円以下の罰金
  • 児童ポルノ製造・提供等(7 条):3–5 年以下の懲役、罰金併科
  • 児童買春等目的の人身売買等(8 条):1–10 年以下の懲役

域外適用(10 条)

本法 10 条は、児童買春罪・児童買春周旋罪・児童買春勧誘罪・児童ポルノ製造罪等について、刑法 3 条(国民の国外犯)の例による旨を規定する。これにより、日本国民が国外で児童買春等を行った場合にも、日本の裁判権が及ぶ。立法当時の主要な立法目的の一つであった「東南アジアにおける日本人男性の児童買春」への対応が、この規定に明示的に体現されている。

改正史

2004 年改正

2004 年 6 月 18 日改正(法律第 106 号)。主な変更点は、児童ポルノ提供罪等の法定刑引き上げ、インターネット上の流通への対応、提供目的の所持・製造の処罰範囲の拡張、児童買春に関する周旋罪・勧誘罪の刑罰整備等であった。同改正に伴い、法律名に「規制及び」の文言が追加された。

2014 年改正と単純所持罰則化

2014 年 6 月 25 日改正(法律第 79 号)。最大の論点は、児童ポルノの単純所持を処罰対象に加えるか否かであった。同改正により「自己の性的好奇心を満たす目的で」児童ポルノを所持する行為が、1 年以下の懲役または 100 万円以下の罰金の対象となった(7 条 1 項)。施行は 2014 年 7 月 15 日、罰則部分は 1 年の周知期間を経て 2015 年 7 月 15 日に発効した。

なお、児童買春規定そのものは 2014 年改正で大きな構成要件の変更を受けていない。改正論議は児童ポルノ側に集中しており、買春規定は立法時の構造をほぼ維持している。

児童保護のための手続規定

本法は、刑事規制と並行して、被害児童の保護のための諸規定を持つ。

心身への配慮(13–14 条)

捜査および公判において、被害児童の人権・名誉および心身に与える影響に配慮することが、捜査機関・裁判所に対し求められる(13 条)。被害児童が特定される情報の出版・放送・通信の禁止(14 条)も規定される。

児童保護のための措置(15 条以下)

被害児童に対する心身の状況・置かれている環境等に応じた相談・指導・一時保護等の措置が、関係行政機関(児童相談所・福祉事務所・警察等)の連携により実施される(15 条以下)。被害児童の権利擁護の観点から、保護命令的手続を欠く点は本法の構造的特徴の一つとされる。

スクールロイヤー制度

2019 年(平成 31 年)、文部科学省は全国の教育委員会に「スクールロイヤー」(school lawyer)制度の導入を促す通知を発した。これは学校現場での児童に対する性被害・SNS を介した児童買春等の事案について、弁護士が法的助言を行う体制を整備するもので、本法を含む児童保護関連法の運用基盤として機能する。同年以降、全国の自治体で導入が進行している。

国際比較

アメリカ合衆国

米国では、PROTECT Act 2003(Prosecutorial Remedies and Other Tools to End the Exploitation of Children Today Act)が児童買春・児童ポルノ規制の包括的連邦立法として知られる。同法は、米国民が国外で 18 歳未満の者と性交渉を行う行為を、相手方の対価の有無を問わず連邦法上の犯罪とする「国外性交渉罪」(18 U.S.C. § 2423(c))を新設した点で、日本法に比して規制範囲がより広い。

判例 Ashcroft v. Free Speech Coalition (2002) は、実在児童を伴わない完全な架空児童ポルノの規制について、表現の自由(修正 1 条)違反として違憲判断を下した。米国の規制は、実在児童を保護法益とする原則を最高裁が明示することで一定の限界を画している。

イギリス

英国 Sexual Offences Act 2003 は、児童に対する性的犯罪を包括的に再編した立法である。同法 47 条以下は、18 歳未満の者に対する対価支払を伴う性交渉を「child sexual exploitation」として処罰する。英国法は、買春・搾取・不同意性交の各概念を統合的に整備した点で、日本の児童買春処罰法と比較されることが多い。

加えて、Protection of Children Act 1978、Coroners and Justice Act 2009 が児童ポルノ規制の主要立法として併存し、後者は実在児童を伴わない「写実的に描かれた児童の不適切な画像」(prohibited image)を一定範囲で規制対象とするなど、日本に比して架空表現への適用範囲が広い。

国際条約

国連子どもの権利条約選択議定書(児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関するもの、Optional Protocol to the Convention on the Rights of the Child on the Sale of Children, Child Prostitution and Child Pornography、2002 年発効、日本は 2005 年締結)は、締約国に対し児童買春・児童ポルノ・児童売買の犯罪化を求める国際法規範である。日本の本法は、同議定書の批准に向けた国内法整備の中核として位置づけられる。

ECPAT International、UNICEF、ILO などの国際機関は、各国の立法状況をモニタリングし、定期的な国別評価を公表している。日本に対する評価は、立法整備の進展を肯定的に評価しつつ、被害児童支援体制・架空表現規制・児童労働禁止との接合について継続的な改善要請を提起してきた。

議論

表現の自由との関係

本法と表現の自由の関係は、改正論議のたびに繰り返し争点となってきた。とくに 2014 年改正をめぐる議論では、漫画・アニメ・CG 等の架空表現を規制対象に含めるか否か、いわゆる「虚構規制論争」が大きな論点を形成した。

漫画家団体・出版社・コンテンツ文化研究会等は、架空表現の規制が芸術・娯楽表現に対し萎縮効果(chilling effect)を生ずるとの立場から強く反対した。最終的に 2014 年改正附則 2 条は「児童の権利を侵害しない」表現は規制対象外とする旨を確認し、漫画・アニメは引き続き規制対象外とする立法者意思が明示された。とはいえ、同論争は児童保護運動・国際機関側からの規制範囲拡張要求と、表現規制反対運動・憲法学者側からの抑制的解釈要求の間で、現在も継続している。

園田寿(刑法学者)、奥平康弘(憲法学者)らの学術的論稿は、本法の規制範囲を実在児童の保護法益に厳格に限定すべきとする立場から、改正論議に重要な参照点を提供してきた。

児童保護法益と「自己決定」

本法は児童本人の処罰を排除し、児童を保護法益の主体として位置づける。しかしこの構造は、思春期の児童による「自発的」な対償を伴う性的行為(いわゆる「援助交際」「パパ活」等の現代的事象)をどう評価するかという論点を生む。学説の多くは、児童の真意ある同意を観念しがたい構造的非対称性を理由に処罰を支持するが、児童の自己決定権・性的自己決定権との関係を巡る理論的論争は継続している。

域外適用と捜査協力

10 条の域外適用規定は、海外渡航児童買春への重要な抑止装置である一方、捜査の実効性確保には現地国捜査機関との協力が不可欠である。Interpol、ASEANAPOL、二国間刑事共助条約(MLAT)などを通じた国際捜査協力が運用上の課題となってきた。

売春防止法との関係

本法と売春防止法は、いずれも対償を伴う性的行為を規制対象とする立法であるが、保護法益・処罰構造に違いがある。売春防止法は対償を伴う性交渉そのものを禁止しつつ、当事者処罰を限定する構造を持ち、本法は児童保護を直接の法益として、児童側の不処罰と買主側の処罰を明確化する。両法は対象と目的を異にしつつ、実務上は相互補完的に機能する。

関連項目

参考文献

  1. 『児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律』 e-Gov 法令検索 (1999) https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0100000052
  2. 園田寿 『児童ポルノ禁止法』 日本評論社 (2008)
  3. 奥平康弘 『性表現の自由』 有斐閣 (1986)
  4. 森山眞弓・野田聖子 編著 『児童買春・児童ポルノ禁止法―解説と運用』 ぎょうせい (1999)
  5. 『子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議 行動計画』 ストックホルム (1996)
  6. 『PROTECT Act of 2003』 Public Law 108-21 (2003)
  7. 『Sexual Offences Act 2003』 United Kingdom Public General Acts (2003) https://www.legislation.gov.uk/ukpga/2003/42
  8. 『犯罪白書』 法務省法務総合研究所 (2023)

別名

  • 児童買春禁止法
  • 児童買春罪
  • Child Prostitution Punishment Act
  • Punishment of Child Prostitution Act (Japan)
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