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トランスジェンダー

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戸籍は男性、性自認は女性。職場の名札は本名のままで、しかし通勤前の鏡の前で化粧を整え、女性の身だしなみで出勤する。あるいはその逆。書類上の性別と内的な自己認識の不一致が、生活の各局面で個別の交渉を要求する状態を指す概念である。1990 年代以降の英語圏での定着、日本における 1998 年の埼玉医科大学倫理委員会の答申、2003 年の性同一性障害特例法成立、2023 年の最高裁による生殖不能要件違憲判決と、トランスジェンダーをめぐる医学・法・社会の枠組は、急速かつ継続的に変容している。

トランスジェンダー(transgender、略 trans)は、出生時に登録された性別(assigned sex at birth)と性自認(gender identity)が一致しない者を指す包括的概念である。性別二元論的に「男性として登録され女性として自認する者(トランス女性、MtF)」「女性として登録され男性として自認する者(トランス男性、FtM)」が代表的な類型だが、近年はより広く、ノンバイナリー・ジェンダークィア・Xジェンダー等を含む包括概念として用いられる。本項では概念史、医学的・法的枠組の発展、隣接概念との区別、社会制度の現状を扱う。

概要

トランスジェンダーは、性自認(自分が認識する性別)と出生時の登録性別の不一致を中核とする状態を指す概念であり、性指向(性的・恋愛的指向)とは独立した軸として位置づけられる。シスジェンダー(cisgender、性自認と出生時の登録性別が一致する者)に対する対概念として用いられる。

「トランスジェンダー」は包括概念であり、その下位類型として、(1) トランス女性(MtF、Male to Female、出生時男性で女性として自認する者)、(2) トランス男性(FtM、Female to Male、出生時女性で男性として自認する者)、(3) ノンバイナリー(性別二元論に収まらない自認を持つ者)、(4) ジェンダーフルイド(性自認が流動的な者)、(5) Xジェンダー(日本独自の概念、ノンバイナリーに近い)、等が含まれる。

医学的・法的枠組としては、日本では「性同一性障害」(Gender Identity Disorder、GID)の語が長く用いられ、2003 年の性同一性障害特例法に法令用語として残る。一方、世界保健機関(WHO)は 2018 年の ICD-11 改訂で「性同一性障害」を「性別不合」(Gender Incongruence)に改称し、精神疾患カテゴリから性に関する健康状態のカテゴリへ移行した。

用語の整理

トランスジェンダーと隣接概念の区別

トランスジェンダーと、サブカル・水商売領域の関連語との関係は、概念上区別される。

  • ニューハーフ: 1980 年代の水商売・芸能領域で発生した和製英語。性別適合手術の有無を問わず、商業領域での女性的自己呈示を行う者を指す。当事者の自己呼称ではなく、職業的・商業的呼称としての性格が強い。
  • 男の娘: 2000 年代以降のサブカル領域で確立した、男性身体を保持しつつ女性的外見・装いを伴う人物類型。架空キャラクターを含む。
  • 女装家: 男性として生まれた者が女性的服装・所作を採用する人物の総称。性自認は問わない。
  • ふたなり: 男女両性の身体特徴を併せ持つ架空のキャラクター類型。実在する両性具有(intersex)とは別概念。

これらの語はいずれもトランスジェンダーと部分的に重なる場合があるが、概念上は別個の軸を扱う。トランスジェンダーが性自認の問題を扱うのに対し、上記諸概念は表現様式・商業的位置づけ・サブカル類型の問題を扱う。

略称・関連語

  • trans: トランスジェンダーの略称、英語圏で広く使用
  • MtF/M2F (Male to Female): トランス女性
  • FtM/F2M (Female to Male): トランス男性
  • 性同一性障害(GID): 1990 年代以降の医学・法令用語、近年は使用が減少
  • 性別違和(gender dysphoria): DSM-5(2013)以降の米国精神医学会の用語
  • 性別不合(gender incongruence): WHO ICD-11(2018)以降の用語

歴史

国際的な概念史

「トランスジェンダー」(transgender)の語は、1965 年に米国の精神科医 John F. Oliven が著作 Sexual Hygiene and Pathology で初めて用いたとされる要出典。当初は限定的な学術用語であったが、1980 年代以降の英語圏当事者運動の進展に伴って、当事者の自己呼称としての用法が広まった。

1992 年、米国の活動家 Leslie Feinberg が論文 “Transgender Liberation” を発表し、「トランスジェンダー」を性別二元論を超える包括的アイデンティティ・カテゴリとして再定義した。1990 年代以降、英語圏の LGBTQ+ 運動の枠組内で「トランスジェンダー」が定着し、独立した社会運動・学術領域(Transgender Studies)が形成された。

日本における概念の導入

日本における「トランスジェンダー」概念の本格的導入は、1990 年代後半以降である。1998 年、埼玉医科大学倫理委員会が国内初の性別適合手術(SRS)実施に関する答申を発表し、医学的・倫理的枠組のもとでの手術実施が容認された。1999 年、岡山大学医学部附属病院で国内初の正式な性別適合手術が実施された。

2002 年、日本精神神経学会が「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」を策定し、医学的診断・ホルモン療法・手術の段階的アプローチを定式化した。これにより、医学的枠組のもとでの「性同一性障害」(GID)概念が日本に定着した。

2003 年: 性同一性障害特例法

2003 年(平成 15)7 月、「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」(性同一性障害特例法、特例法)が成立し、2004 年 7 月に施行された。同法は、一定の要件を満たす者の戸籍上性別変更を可能とする日本初の法的枠組である。

特例法 3 条 1 項が定める性別変更の要件は、(1) 18 歳以上であること(当初は 20 歳以上、2022 年改正で 18 歳に引き下げ)、(2) 現に婚姻していないこと、(3) 現に未成年の子がいないこと(当初は「子がいないこと」、2008 年改正で現に未成年の子に限定)、(4) 生殖腺がないか生殖腺の機能を永続的に欠くこと、(5) 他の性別の身体に近似する外観を備えていること、の 5 件であった。

これら要件のうち、特に (4) 生殖不能要件、(5) 外観要件は、性別適合手術を事実上要求するものとして当事者・人権団体から繰り返し批判されてきた。

2023 年: 最高裁違憲判決

2023 年 10 月 25 日、最高裁判所大法廷は、特例法 3 条 1 項 4 号(生殖不能要件)を憲法 13 条(個人の尊重)違反と判断した。同判決は、当該要件が「治療として生殖腺除去手術を要しない性同一性障害者に対し、身体への侵襲を受けない自由を放棄して強度な身体的侵襲である生殖腺除去手術を受けることを甘受するか、または性自認に従った法令上の性別の取扱いを受けるという重要な法的利益を放棄して性別変更審判を受けることを断念するかという過酷な二者択一を迫る」ものであり、違憲・無効であるとした。

外観要件 (5) については、最高裁は高等裁判所に決定を差し戻し、3 名の裁判官が個別意見で外観要件も違憲とすべきとの見解を表明した。同判決を受けて、立憲民主党等から特例法改正法案が提出されるなど、立法対応が進行している。

2023 年: LGBT 理解増進法

2023 年 6 月、「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」(LGBT 理解増進法)が成立・施行された。同法は性的指向・ジェンダーアイデンティティの多様性に関する理解増進を国の責務として明文化したが、罰則を伴わない理念法であり、当事者団体からは「内容が後退した」「不十分」との評価も出ている。

医療と社会制度

医学的支援

日本における性同一性障害の医学的支援は、日本精神神経学会の「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」(初版 1997、改訂 2002、2006、2012、2018 年版第 4 版)に基づく段階的アプローチが標準となっている。診断後、(1) 精神療法、(2) ホルモン療法、(3) 性別適合手術(SRS)、の段階を経て進む形式である。

性別適合手術は、岡山大学・国立国際医療研究センター・大阪医科薬科大学・札幌医科大学等の指定医療機関で実施されている。健康保険適用は 2018 年 4 月から限定的に開始されたが、ホルモン療法併用時には混合診療の問題で全額自己負担となる場合が多く、当事者の経済的負担は依然として大きい。

社会的サポート

トランスジェンダー当事者を支援する団体として、特定非営利活動法人 GID(性同一性障害)Japan、特定非営利活動法人 LGBT 法連合会、にじいろかぞく、トランスジェンダーズ・ジャパン等が活動している。各団体は、(1) 当事者相談、(2) 法制度改善の働きかけ、(3) 啓発活動、(4) 国際的人権機関との連携、等を行う。

東京・大阪・名古屋・福岡等の主要都市には、当事者向けコミュニティスペース・自助グループ・医療相談窓口等の支援インフラが整備されている。一方、地方都市・農村部では支援インフラが乏しく、当事者の地理的格差が大きいことが課題として指摘される。

隣接概念

性別二元論を超える概念

トランスジェンダーは、性別二元論の枠内での性別越境(男 ⇄ 女)を中核としつつ、近年はより広い性別多様性の枠組を含む。ノンバイナリー(性別二元論に収まらない自認)、Xジェンダー(日本独自の概念、ノンバイナリーに近い)、ジェンダーフルイド(流動的自認)、エイジェンダー(性別を持たない自認)等が、トランスジェンダーの傘下に位置づけられる。

インターセックス(両性具有)との区別

インターセックス(intersex、両性具有、性分化疾患 DSDs)は、性染色体・性腺・内外性器のいずれかに非典型的特徴を持って生まれた状態を指す医学的概念である。トランスジェンダーが性自認の問題を扱うのに対し、インターセックスは身体的特徴の問題を扱う。両者は概念上区別される。

サブカル・成人向け作品のふたなりは、両性の身体特徴を併せ持つ架空キャラクター類型で、現実のインターセックス・トランスジェンダーとは別概念のサブカル表現として位置づけられる。

性指向との独立性

トランスジェンダーは性自認の問題であり、性指向(誰に性的・恋愛的に惹かれるか)とは独立した軸である。トランス女性が男性に惹かれる場合、女性に惹かれる場合、両性に惹かれる場合、いずれもありうる。同様にトランス男性も多様な性指向を持ちうる。

性自認と性指向の独立性は、(1) シスジェンダー異性愛者、(2) シスジェンダーゲイレズビアン、(3) トランスジェンダー異性愛者(出生性別ではなく自認性別を起点にした異性愛)、(4) トランスジェンダー同性愛者、等の多様な組み合わせを生む。LGBTQ+ の枠組はこれら多様な組み合わせを包括する。

国際比較

法制度

トランスジェンダーの法的地位の制度化は、各国で大きく異なる。スウェーデン(1972 年に世界初の性別変更法)、ドイツ(2024 年に自己決定法成立、医学的診断不要で性別変更可)、アルゼンチン(2012 年に世界初の自己決定法)等は、自己決定権を最大限尊重する制度を採用している。日本の特例法は要件が厳しく、国際的には保守的な制度として評価される。

社会的可視性

トランスジェンダー当事者の社会的可視性は、近年急速に進展している。米国・欧州ではトランスジェンダー当事者の政治家・俳優・作家等の活躍が顕著で、Laverne Cox(俳優)、Janet Mock(作家)、Sarah McBride(米国デラウェア州議員)等が代表的人物として知られる。

日本でも、性別適合手術を受けた最初期の人物としてカルーセル麻紀、現代の当事者として上川あや(世田谷区議会議員、2003 年に当事者として初の地方議会議員当選)等が、当事者として公的活動を行っている。

倫理的留意

本項は、トランスジェンダー当事者を医学的「異常」「治療対象」として記述するものではなく、社会的・歴史的・人権的枠組のもとで記述する。当事者の多様性を尊重し、(1) 当事者の自己呼称の優先(古い「性同一性障害」より「トランスジェンダー」「トランス」)、(2) 性自認・性指向・身体的特徴の各軸の独立性の維持、(3) 商業的・サブカル的描写と当事者の現実との区別、を記述上の原則とする。

「トランスジェンダー」が単なる流行用語・サブカル類型ではなく、現実の当事者の人権・尊厳・社会的存在をめぐる切実な概念であることを、本項は前提として記述する。

関連項目

参考文献

  1. ショーン・フェイ、高井ゆと里 訳 『トランスジェンダー問題―議論は正義のために』 明石書店 (2022)
  2. 針間克己 『トランスジェンダーの精神医学』 金剛出版 (2019)
  3. 『性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律』 法律 第111号 (2003) — 性同一性障害特例法
  4. McLelland, Mark 『Queer Japan from the Pacific War to the Internet Age』 Rowman & Littlefield (2005)
  5. 『最高裁判所大法廷決定 令和5年10月25日』 最高裁判所 (2023) — 性同一性障害特例法3条1項4号違憲決定

別名

  • トランスジェンダー
  • transgender
  • trans
  • トランス
  • 性同一性障害
  • GID
  • gender identity disorder
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